最強人材を作るOJT「部下に仕事を教える目的」 | スターヒルズ企画
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最強人材を作るOJT「部下に仕事を教える目的」

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最強人材を作るOJT「部下に仕事を教える目的」



トヨタ流最強人材がいかにして育成されていくのか、誰も知らない数々
の秘訣についてシリーズで4回に分けてお伝えしています。
今回は、シリーズ第2回として「部下に仕事を教える目的」について、
その目的とOJTとして教えていく具体策を明らかにしていきます。

1. 部下に仕事を教えるということ

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部下に仕事を教える

今回は第2回として「部下に仕事を教える目的」を上司の視点を中心に
実践論としてOJTの中でどうのような考え方で、どのようなことに気をつ
けて、どんな姿勢で部下を育成していくべくかについて考えてみます。

私たちは様々な場面において、人に仕事を教える必要に迫られることが
あります。先輩が後輩や新人に教える、上司が部下に教えるなどいろい
ろな場面が考えられますが、総じて上位者が経験の浅い人に教えるとい
うケースがほとんどだと思われますので、以降では上司が部下を教える
というケースについて話を進めていきます。

(1)部下に仕事を教える目的

部下に仕事を教える目的は大きく言って3つあります。
①部下の早期戦力化
②仕事を教えるということを通して、教え教えられる風土の醸成
③日々の仕事の中でいつでも改善をし続けられる考え方と姿勢の浸透

それでは順番に解説していきます。

①部下の早期戦力化について

早期戦力化を図りたい部下とは、新人や他部署から異動してきて初めて
その仕事をやるというような人が対象になります。したがって、その人
たちは、新しい仕事に対して、専門知識や固有スキルなどは持ち合わせ
ていないというケースです。こうした場合、上司が直接教えるか信頼で
きるベテランに教育を依頼することになるでしょう。

こうした場合、重要なことは教え方教える側の心構えです。

1)教え方

基本は4段階指導法と言われるような教え方をします。

すなわち、

やってみせる→説明する→やらせてみる→フォローする

これはまるで、山本五十六(日本帝国海軍連合艦隊司令長官)の名言の
「やってみせ言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」
とそっくりですね。それだけ、普遍的なステップであるとも言えます。
しかし、一つ一つのステップには重要な考え方が隠されています。

順を追って説明します。

(ⅰ)やってみせる

仮にいくらマニュアルを読ませたり、口でうまく説明したとしても、具
体的な仕事のイメージが掴めなければ十分な理解には至りません。

それは、人間の五感の中で最も情報をインプットしやすいのが「視覚」
と言われており、最初に豊富な視覚情報を伴った実際の様子を見せるこ
とによって、頭の中に視覚から具体的なイメージを固定する過程が必要
なのです。

どうしても時間の都合や手間がかかることを口実に、口頭説明のみで終
わらせがちですが、人に何かを教える時は、まず自分が率先してやって
みせることが重要です。

これをおろそかにすると、十分な教育効果が得られないばかりか、上司
と部下の信頼関係までが壊れる可能性がありますので注意が必要です。

(ⅱ)説明する

やってみせて、イメージをしっかりと頭の中に固定できた後は、具体的
な手順や、その手順を守らなければならない理由やそうする目的、注意
すべき項目や仕事を終える時の確認項目やその判断基準などを丁寧に説
明して聞かせることが重要です。

手本を丁寧にやって見せただけではうまく伝わっている可能性は低いと
考えるべきです。まるでテレビドラマのように職人が弟子に「見て覚え
ろ」というようなスタイルは教える側の独りよがりであり、合理的な教
育とはかけ離れた世界です。

したがって、やってみせてイメージをつかませた後は、言葉できちんと
理屈を説明して、視覚と知識を一体化させるように努めるべきです。

「言って聞かせる」という言葉からもわかるように、重要なことは相手
にいかに伝えるかです。一方的に説明したかどうかではなくて、相手に
伝わっているか、理解ができたかどうかという点が重要なのです。

(ⅲ)やらせてみる

やってみせて、きちんと説明して、視覚イメージと知識を一体化させた
後は、いよいよ実際に相手に実践させてみます。

この時部下は、いざ、実践しようとしてもなかなか思うようにできない
という事実に気がつくはずです。

ここで部下に質問しながら考えさせます。上司がやってみせて、必要な
知識は部下の頭の中にインプットし、理解できたはずなのに、なぜ部下
はうまくできないのでしょうか。

このことを部下によく考えさせます。そして繰り返し部下にやらせてみ
ます。

やがて部下はだんだんできるようになってきます。ここで、部下はスキ
ルの重要性に気がつきます。視覚的なイメージは頭の中ではっきりして
おり、必要な知識はインプットされていても、それを実践するためには
実践できるスキルが必要なのです。そして、そのスキルを身につけるた
めには繰り返し訓練が必要なのです。

この時の繰り返し訓練期間なり、繰り返し回数は、個人個人の保有能力
とその業務の難易度に依存します。そして、業務の難易度は、その業務
の作業手順書などがどの程度整備されているかに依存します。

すなわち、自部署の業務手順書などがきちんと整備されていると、その
業務の難易度が下がり、新人を入れる場合などでもその新人に対する教
育訓練工数が少なくなり早期戦力化に著しく貢献することになります。

(ⅳ)フォローする

山本五十六の名言の中にも、最終ステップでは「褒めてやらねば人は動
かじ」と言っています。この意味について少し考えてみたいと思います。

人は何か初めてやってみる時、「本当にこれでいいのだろうか」とか、
「これで正しいのだろうか」と不安に思うものです。その時に、「それ
でいいんだよ」とか、「それで正しいんだよ」と言われると安心できる
のです。

すなわち、それは「肯定」なんです。褒めると言っても出来の良さを称
賛するのではなく、相手を肯定するということなんです。

覚えたての相手が初めから完璧に仕事ができることはなかなか無いわけ
ですから、その時に、褒める=肯定してもらうと自信を持って仕事に取
り組む原動力となります。

そう考えると、ここで「フォローする」という意味は、相手を褒めて肯
定し、勇気付けて自信を持たせると同時に、冷静に現状の足りない点と
今後のレベルアップ方法も伝えて、自律的な自己成長への意欲につなげ
ることが「フォローする」という意味の本質であるということがお分か
りになると思います。

あくまでも、肯定して自信を持たせると同時に、今後の自己成長を手助
けするということが肝要です。

2)教える側の心構え

部下に仕事を教えるということは、上司から見ると、単に担当業務を覚
えてもらいたいというだけのことではなくて、部下に仕事を教えるとい
うことを通して、仕事に対する考え方や自己成長の大事さ、うれしさ、
楽しさを学んで欲しいという思いがあるはずです。

同時に、仲間とのコミュニケーションの大事さを知ってもらうための施
策、例えば、新人の成果発表会、先輩を交えたグループミティング、時
間外レクリエーションなどの機会も積極的にもうけながら、教育研修と
仲間の存在が同時にイメージとして刷り込まれていくような環境を用意
することも重要と思います。

いずれにしても、教える側の心構えとしては、単なる新人への業務手順
の習得研修ではなく、そのことを通して自職場の風土・文化までをも含
めて学び、理解し、その一員となってもらうための教育であることをは
っきりと認識した上で教えるということが大事であると思います。

自職場の一人ひとりがそうしたことを身につけ、理解し、実践できるよ
うになれば、やがて彼らが自律的に成長し続ける職場風土を醸成してい
く原動力にもなるということが上司の願いでもあるはずです。

(2)教え教えられる風土の醸成

松下幸之助の音葉にこういうものがあります。

「教えることに熱意を持て、教えられることに謙虚であれ。教え教えら
れずして何ものも生まれてこない。」

私たちは部下や後輩、新人などに仕事を教えます。熱意を持って、教え
教えられる立場をおもんばかって、マニュアルに書いてある以上のこと
を自分の経験談も交えながら教えます。

しかし、同時に私たち自身も教えながら教えられているのです。それは
相手の気持ちを推し量ることや、相手の立場に立って物事を考えること
や、相手が自分から学ぶ謙虚な気持ちなどを私たちも同時に教えられ
ているのです。

教えてやっているのではなく、教わる気持ちが大事だと思うのです。

私たちは経験があり、成功も失敗も何度も繰り返しています。それでも
なお、学びは必要であり、それが今後の成長のカギとなるのです。そし
てその姿勢が、組織として教え教えられる風土を作り、それを部下や後
輩や新人が受け継ぎ、醸成していくのです。

そうした職場は新しい知識を吸収することに対して貪欲になり、組織の
全員が上司や部下、先輩や後輩といった区別なく、お互いに必要な知識
を教え教えられるようになっていくのです。

こういう職場は、他の人の成功や失敗が全員の知識として共有され、コ
ミュニケーションがよく、明るく活気のある元気な職場になっていくの
は間違いないでしょう。

そうしたことも、部下に仕事を教える時の心構え一つでなし得ていくと
思うのです。

(3)仕事に対する基本的な考え方の浸透

私たちは部下に仕事を教える時、本当に知ってほしいのは個々の業務の
手順や注意事項を頭に入れてそつなく仕事をこなす術ではなく、仕事を
やる中で常に、「ここはこうしたらもっとうまくできそうだ」とかいう
ような、工夫する気持ちなんです。

ローランドベルガー日本法人会長・遠藤功さんはこう言っています。

『「ビジネスモデルは同じなのに、あの会社はなぜ当社よりも利益が上
がっているのか。なぜ当社よりもユニークな商品を次々と出せるのか。
なぜ当社よりも顧客の評判がいいのか。なぜ当社よりも社員の目がいき
いきと輝いているのか。」

これらはすべて「現場力」の差に由来しています。現場力を高めていく
ためには、大きな改善を一気に目指すのではなく「微差」にこだわって
いくことが重要です。

微差」というのは、「他社もいいものを作っているけど、御社は融通
が利くよね」とか、「ここの部分については品質が安定しているよね」
といった、ちょっとした差のことで、そのわずかな差が積み上がって、
やがて大きな差になるのです。

その「微差」を単発ではなく、「たった1ミリでもいいから、より良く
していく」という改善の努力を組織全体で継続的に行っていくことが強
い現場を作ることになるのです。

「イノベーション」や「革新」という言葉がやたらともてはやされます
が、1ミリの微差も生み出し続けられない会社がイノベーションを実現
できるはずがありません。イノベーションは、微差の積み重ねによって
しか生まれないのです。』

要するに、「私はこれしかやらない」あるいは「これしかできない」と
いう状態ではなく、「あれもできる」「これもできる」、「私もあの人
も誰でもできる」という職場にしていきたいわけです。

そのために、絶対に必要なことが「教え教えられる職場」の風土・文化
であり、全員が一つになって、絶え間なく改善していくというマインド
なんです。

そして、その先にあるのは「いい仕事をしたい」という純粋な思いなん
です。最初から完璧な仕事はあり得ません。しかし、私たちはその完璧
な仕事を追い続けるのです。追い続けるからこそ、今の仕事をちょっと
でも良くしたいという想いにつながり、ほんの少しの改善の積み重ねに
つながるのです。

それを、具体的な仕事を教えながら、手順だけでなく、その源流になる
考え方を伝えていくことが大事なことだと思います。

最終的には、それが部下に仕事を教える目的だと思います。

2. まとめ

今回は、「部下に仕事を教える目的」について考えてきました。

仕事を教えるということは単に仕事の手順を教えるだけではないという
ことを意識した上で、実際に教える場に立っていただきたいと思います。

この目的意識が曖昧なままでは、部下に対して思いが伝わりません。た
とえば仮に手順を教え、部下がそれを覚えたとしても、いずれどこかで
自分勝手な理屈をつけて省略行為や近回り行為をするかもしれません。

そうして不具合を起こしている例を私たちは山ほど見てきています。

私たちは自らを律して常に成長し続けられる人材を育成したいのです。

3. 次回以降の内容

前回は第1回として「最強人材を作る秘訣」について説明しました。

また前回に引き続き、今回は第2回として「部下に仕事を教える目的
について説明しました。

次回は第3回として「部下への仕事の教え方」について説明します。

第1回テーマ:「誰も知らない最強人材育成」
(1)最強人材とは
(2)最強人材の3つのタイプ
(3)最強人材をいかに育成するか

記事はこちらをクリックしてください!
===>最強人材を作るOJT「誰も知らない最強人材育成」

【今回】
第2回テーマ:「部下に仕事を教える目的」
(1)部下の早期戦力化
(2)教え教えられる風土の醸成
(3)仕事に対する基本的考え方の浸透

第3回テーマ:「部下への仕事の教え方」
(1)教え上手と教え下手
(2)相手の性格を見極めた教え方のコツ

記事はこちらをクリックしてください!
===>最強人材を作るOJT「部下への仕事の教え方」

第4回テーマ:「誰も教えないOJTの秘訣」
(1)OJTの目的
(2)OJTの方法

記事はこちらをクリックしてください!
===>最強人材を作るOJT「誰も教えないOJTの秘訣」

シリーズ4回とも、ぜひご覧いただきたいと思います。

よろしくお願いします。


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