仕事は楽しくやりたいものです。
ところが、「仕事が楽しくて、楽しくて仕方がない」という人はあまりいません。
何故でしょう?楽しい仕事と楽しくない仕事はどこが違うのでしょう。
今回は仕事が楽しくない4つの理由とたった一言で楽しくなる魔法の言葉
について考えてみましょう。
1.仕事が楽しくない理由を考えてみる
(1)仕事が楽しくない理由
職種や経験年数、企業規模、一人一人の受取り方の差など
いろいろあるとは思いますが、気がつくままにあげてみると
①一所懸命やっているのにお客様から怒られる
②一所懸命やっているのに上司から怒られる
③何のためにこの仕事をしているのかわからなくて、不安
④どんなアウトプット出せばいいのかわからなくて、不安
⑤仕事の手順がよくわからなくて、不安
⑥仕事がどんな状態になっていれば完了なのかよくわからなくて、不安
⑦仕事に必要な情報が不足している
⑧この仕事をやっていて自分の成長につながるとは思えない
⑨この仕事は果たして社会の役に立っているのだろうか
こんな風に、いろいろな理由が考えられますね。
(2)重要なキーワード
もちろん、これで全てとは思いませんが、上で挙げた内容を見てみると
幾つかの重要なキーワードがあることに気がつきます。
それは
・怒られる
・不安
・自分の成長
・社会の役に立つ
なんですね。
こういうことがあると、多くの人は「仕事が楽しくない」と感じるのでは
ないでしょうか。
それでは、次に、何故こういうことが起きるのかを考えていきましょう。
2.仕事が楽しくない4つの理由を掘り下げる
仕事が楽しくない理由を掘り下げて考えてみます。
(1)「怒られる」理由とその対応策
自分は一所懸命やっているのに、どうしてお客様や上司に怒られてしまうのでしょう?
①「怒る」時の心理学的状態
人が怒りを感じる時の心理学的状態を調べてみると
代表的な例が「自分を否定された時」、または、「自分が大切にされていないと感じた時」
と言われています。
では、人はどうして「自分を否定された」、または、「自分が大切にされていない」と
感じてしまうのでしょう?
「自分を否定された」、あるいは、「自分が大切にされていない」という心理状態は
言い換えると
「本当はこうして欲しいのに実際は違っていた。」
ということになるような気がします。
②「相手を怒らせた」ことを、こちら側から考えると
「本当はこうして欲しかった」という相手の気持ちや要求を、
果たして、こちらは正確に知っていたのでしょうか?
相手が望んでいることと違うアウトプットを出してしまったから、相手は
「自分の要求を無視された」
すなわち
「自分のことは大切に大切にされていない」
と感じて、怒ってしまったのかもしれません。
③「相手を怒らせない」ために、大事なことは
このように考えてくると、「相手を怒らせない」ために、
大事なことが見えてきます。
そうです!
相手が望むことを正確に把握し、相手が望むアウトプットを出してあげればいいんです。
相手がお客様なら
「こちらが提供しようとする製品、サービスに対して、お客様が望む品質で提供する」
「そのために、お客様が望む品質を調査し、お客様がその品質に対して妥当だと
思える価格で生産できる技術を開発し、実行する。」
相手が上司なら
「自分の仕事に対して、要求されるアウトプットレベルを確認し、定められた納期までに
アウトプットする」
「要求レベルがよくわからない場合は、上司に必ず確認する。」
これでいいんです。
相手が望むアウトプットがタイムリーに出せれば
「自分のことをよくわかってくれているな」
「そうそう、これが欲しかったんだ」
ということになり、あなたには賞賛、感謝がリターンされます。
そして、あなたの評価が上がり
企業なら売上増、個人なら上司からの信頼度アップにつながります。
(2)「不安になる」理由とその対応策
「不安になる」のはどんな時でしょう?
①「不安になる」時の心理学的状態
「不安」とは、心理学辞典によれば
「自己価値を脅かすような破局や危険の漠然とした予感」とあります。
もう少しわかりやすく言うと
「この先、何が起きるのかわからなくて、漠然と悪い方へ考えてしまう」
ということではないでしょうか?
②「不安にならない」ためには?
「不安」の定義の中で2つの重要なキーワードがあります。
それは
「この先、何が起きるのかわからない」
「漠然と悪い方へ考えてしまう」
ということは、その視点を逆向きに置き換えて
「この先の計画を明確に立てて、実行する」
これで「不安」という心理状態を構成する2つの要素がキャンセルされて
「明日(この先)何をするのか明確なので、計画外のことも事前に想定し、
あらかじめ、その準備ができており、何が起きても対応出来る」
と思えれば、「不安」はなくなると思いませんか?
(3)「自分の成長につながらない」と感じる理由とその対応策
「自分の成長につながらない」と感じるのはなぜでしょう?
ここで、「働く喜び」について考えてみましょう。
①ヤン・カールソン 「真実の瞬間」より
ある日、一人の旅行者がバルセロナのサグラダ・ファミリアを訪れました。
辺りを歩いていると、道端で一人の石工が石を削っています。
好奇心旺盛な旅行者は、その石工に声をかけました。
「あなたはいったい何をしているんですか?」
するとその石工は、迷惑そうな顔をしながら腹立たしげにこう言いました。
「見てわからないのか? このいまいましい石を削っているんだ!
邪魔だからとっとと向こうへ行ってくれ。」
旅行者は慌ててその場を離れ、しばらく歩いていると、別の石工が
同じように石を削っています。
その旅行者は、懲りずに先程と同じ質問をしてみました。
するとその石工は、晴れやかな顔をして誇らしげにこう答えました。
「よくぞ聞いてくれました。私は今、世界で一番美しい大聖堂の基礎を
作っているんですよ。」
つまり、自分の仕事の目的が理解できている石工と、理解できていない石工
ではモチベーションが違うということです。
そのモチベーションがどこからきているかというと、世界で一番美しい大聖堂
が完成して人々が集まって幸せに過ごしている光景を想像し、その基礎を
作っている自分も幸せを感じ、そこで働く喜びを感じているということなのでしょう。
② 「働く喜び」と「自己成長」
「働く喜び」と「自己成長」について考えてみましょう。
人は「働く喜び」を感じていると、その仕事の仕上がりをよりよくしたいと
思うものなんですね。
そして、仕事の仕上がりをよくするために、自分の技術を磨き、仕事のスピードを
あげ、仲間と教え合いながら、切磋琢磨していくんですね。
このことが、自己成長感につながっていると思うんです。
これは、アメリカのダニエル・ピンクが言っている「モチベーション3.0」と同じですね。
・モチベーション1.0 : 生理的動機付け(生きるため)
・モチベーション2.0 : 外発的動機付け(アメとムチ)
・モチベーション3.0 : 内発的動機付け(自己成長、貢献意識)
(4)「社会の役に立ちたい」と思う理由とその対応策
社会の役に立っているかどうかわからないと仕事が楽しくないということは、
その根底に、「社会の役に立ちたい」という強い気持ちがあるんですね。
したがって、「この仕事は間違いなく社会の役に立っている」という
確証が欲しんですね。
私たちの心には、もともと「自分だけがよければそれでいい」と考える利己の心と、
「他によかれかし」と考える利他の心があります。
この利他の心が社会の役に立っているという確証を要求しているのです。
それでは、今の仕事が社会の役に立っているかどうかはどうやって
判断したらよいでしょう?
ここで、京セラ創業者の稲盛和夫氏の言葉を引用したいと思います。
私は、経営者というものは企業のリーダーとして
「人間としてまず何が正しいのか」ということを判断基準にしなければ
ならないと考えています。
経営判断をする場合、一般的な考え方としては「損得」という利害得失で
考えがちですが、真の経営者は「善悪」という基準で判断すべきなのです。
しかし、善か悪かを判断するには、まず立派な人間性を持っていなければ
なりません。
そこで「人間としていかにあるべきか」というところまでさかのぼって考える
必要が出てきます。
こうすれば、うちの会社にとってのみ都合がよく、儲かるというようなことが
あったとしても、人として如何なものかと思った時には、それは決して選ばない。
そのくらいの勇気が真の経営者には必要になるのです。
すなわち、「損得」という利害得失でなく、「利他の心」で判断するということですね。
3.仕事は楽しくやろう
これまで、仕事が楽しくないと感じる理由を一つ一つ丁寧に考えてきました。
楽しくない理由がなくなれば、あとは積極的に楽しく感じればいいということですね。
楽しいと感じている時は誰でも活き活きとして、やる気にあふれています。
では、どうすれば、活き活きといつもやる気にあふれて、仕事ができるかを考えましょう。
(1)ダニエル・ピンク ・・・ モチベーション3.0
もう一度ダニエル・ピンクに登場してもらいましょう。
ダニエル・ピンクは元ゴア副大統領のスピーチライターでASTD2010(人材開発
国際会議シンポジウム)の基調講演で「モチベーション3.0」の考え方を発表しました。
「モチベーション3.0」の骨子は、人が行動を起こす時の動機付けとして、
従来の外発的動機付け(アメとムチ)ではなく、内発的動機付け(自己成長、貢献意識)
に変えていこうというものです。
わかりやすく言うと、誰かから強制されてやるのでなく、「自分がこうしたい」という
意志を大事にしようということなんです。
したがって、「モチベーション3.0」で大事なことは3つあります。
①自律性 ・・・ 自ら考え、自ら提案したい
②熟達 ・・・ 自分にとって意味のあることを上達したい
③目的 ・・・ 自分以外の人・もの・社会の役に立ちたい
キーワードは「私は〜したい」 = 「自ら考え、自ら行動する」
(2)仕事が楽しくなるたった1つの魔法の言葉
もうお分かりですよね。
「仕事が楽しくなるたった1つの魔法の言葉」
それは、
「私がそれをしたいんだ。」
ということです。
人は誰でも、自分がそうしたいと自覚した時、「自ら考え、自ら行動する」ように
なるんです。
主体的、積極的になった時、仕事に対して誇りややりがい・達成感が生まれ、
仕事そのものが楽しくなるんです。
(3)楽しくやろう
私たちに大事なことは、仕事に限らず、いろいろな行動を起こす時には、
「やらされ感」でやるのでなく、自らの意志で行動を起こすということです。
そうすることによって、日々の様々な行動から、人生そのものまでが、
活き活きとして、やる気にあふれた楽しいものに変わっていくだろうと思います。
4. まとめ
今回は仕事が楽しくない理由と楽しくなる魔法の言葉を中心に書いています。
仕事が楽しく無い理由はいくつもありますが、代表的な4つの理由について考えました。
上司から怒られるのが嫌だ、不安になる、自分の成長が感じられない、もっと社会の役に立ちたい
という強い思いなどがその理由ですが、ダニエル・ピンクの内発的動機付けに結びつけて
前向きに考えることが重要だと思います。
簡単に答えの出るような問題ではので、さらにいろいろな観点から掘り下げていこうと思います。
したがって、5回のシリーズとして記事にしていこうと思います。
ぜひ、すべての記事をご覧いただきたいと思います。
第1回テーマ:「仕事に対する不満」を心理学的に考える
1. なぜ現状の仕事に不満なのか?
2. どのように取り組むべきか?
3. やりたい仕事探し
記事はこちらをクリックしてください!
===>仕事に対する不満」を心理学的に考える
【今回】
第2回テーマ:仕事が楽しくない理由と楽しくなる魔法の言葉
1.仕事が楽しくない理由を考えてみる
2.仕事が楽しくない4つの理由を掘り下げる
3.仕事は楽しくやろう
第3回テーマ:仕事を心から楽しむ3つの秘訣
1. 「仕事を楽しむ」ということ
2.仕事を心から楽しむ3つの秘訣
3. 仕事を心から楽しむ
記事はこちらをクリックしてください!
===>仕事を心から楽しむ3つの秘訣
第4回テーマ:仕事が楽しくなるたった一言の魔法の言葉
1. 「仕事が楽しい人」と「仕事が楽しくない人」の違い
2. 意識的に「仕事が楽しくなる」には?
記事はこちらをクリックしてください!
===>仕事が楽しくなるたった一言の魔法の言葉
第5回テーマ:今の仕事の中に楽しさを見つける魔法のような4つの方法
1. 「楽しい仕事」を探す行為は蟻地獄のようなもの
2. 今の仕事の中に楽しさを見つける魔法のような4つの方法とは?
記事はこちらをクリックしてください!
===>今の仕事の中に楽しさを見つける魔法のような4つの方法
よろしくお願いします。